今回は築年数が古い中古マンションに投資した場合の事例を掘り下げて説明しようと思います。
コラム「新築と中古どっちがお得?Vol.2」でご紹介した菱和パレス上北沢のマンションを例に解説します。

菱和パレス上北沢 築28年

価格 1,050万円 自己資金 1,050万円
ローン 不可 提携金融機関 不可
ローン年数 不可 返済額 なし
管理費 9,450円 家賃 50,935円
収支 +41,485円    

前回のコラムに引き続き、35歳のサラリーマンが投資した場合を例に今回3つに分けて考えてみたいと思います。

① 毎月の負担

全額自己資金で購入になりますので、当然ながらローン返済額がありません。よって、毎月のキャッシュフローはプラス41,485円になり、ローンを使える新築及び築浅の中古物件と比べると一番良いと言えます。

② ローン年数

物件の築年数が28年と古いため、金融機関からの融資は出来ません。
融資がない分、利息は支払う必要はありませんが、団体信用生命保険に加入していませんので、生命保険としての役割はありません。

③中古物件と新築物件の違い

前回コラムにも書きましたが、二つの大きな違いの1つは、共用部分や部屋の設備が時代の最先端かそうでないかではないでしょうか。この設備の違いが入居率に影響することもあります。当然ながら、入居者からしてみると新しい設備、Wi-Fiなどの最新のインターネット環境などが備わっている方を借りたいと思うからです。さらに築古物件になりますと、時代のニーズに合っていない物もありますので入居率に影響があります。設備だけでなく、間取りにも注意が必要です。築年数が古い物件は風呂・トイレが一緒の2点式ユニットになっており若い世代にはあまり人気はありません。最近の物件は当然別々になっていますし、中には洗面台も独立したものもあります。間取りも入居率には影響してきます。

また、設備が新品であるかももう1つの大きな違いです。新築物件の設備は新品なので購入時にあまり気にしなくてもよいですが、中古物件の場合は、入居者がいる状態で売買されるケースがほとんどで、直接部屋を内見し劣化状況等をチェックできないため、購入後に突発的な設備交換費用などが発生する場合があります。そのため、中古物件を購入される場合はこういった設備の支出を想定することもポイントになります。

しかしながらこういった設備の保証を有償で行っている会社もあります。例えば当社グループの賃貸管理会社クレアスレントでは、管理手数料に1,000~1,500円の上乗せでエアコンなどの対象設備機器の修理費用が、修理保証上限金額の範囲内で保証されるサービスを提供しています。中古物件を購入されて賃貸される場合には突発的な支出を回避できるので非常に有用です。こうしたサービスをしている賃貸管理会社を選択するということも運用を行う上で大切になります。

この様に築年数が古い物件には入居率や設備に関する出費に課題がありますが、改善策はあります。リノベーションを施し設備などをリニューアルする事により、賃料や入居率を改善できる場合があります。突発的な支出も減りますのでより安定した運用ができるようになります。ただし、リノベーションするにあたり一時資金は必要になりますので、それを盛り込んだうえでシミュレーションする必要があります。

まとめ

  • 築年数が古い物件は、ローンが組めないため多額の自己資金が必要になる。
  • 生命保険としてのメリットはない。
  • 購入者が高齢でもともとローンが組めない方には、物件価格が新築・築浅中古よりも安いため検討する選択肢になりうる。
  • 築年数が古い物件の購入は部屋設備状態にも目を向けること。
  • 部屋設備以外にも物件全体の共用設備また部屋の間取りなども確認が必要。
  • 運用をしっかりとサポートしてくれる賃貸管理会社に任せることが大切
  • リノベーションを施し入居率など改善出来るが一時資金が必要。