今回は中古マンションに投資した場合の事例を掘り下げて説明しようと思います。
新築と中古どっちがお得?Vol.2でご紹介した代々木のマンションを例に解説します。
パレステュディオ代々木
価格 | 2,780万円 | 自己資金 | 10万円 |
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ローン | 2,770万円 | 提携金融機関 | 金利1.9% |
ローン年数 | 38年 | 返済額 | 85,336円 |
管理費 | 10,630円 | 家賃 | 99,935円 |
収支 | +3,969円 |
前回のコラムに引き続き、35歳のサラリーマンが投資した場合を例に今回3つに分けて考えてみたいと思います。
① 毎月の負担
前回コラムでも記述しましたが、35歳という年齢はマイホームの購入や、養育費にお金がかかる時期にある方も多く、収入面とのバランスも考えると 投資に資金を回す余裕がないという相談も多く寄せられる年代です。
ところが、シミュレーションを見てみると、毎月の収支は約4,000円のプラスですので、ランニングコストをかけずに運用することが可能といえます。また自己資金は、購入時の頭金10万円と諸費用約60万円です。都心立地であるなどの厳選された中古物件であれば、新築物件同様に金融機関からの評価は高く、多くの融資を引き出すことが可能です。
結果として購入資金のほとんどを融資で賄うことが可能となり、初期費用は少なく始めることが可能です。
一昔前では、中古物件に対し金融機関の見方も厳しく、どんなに良い物件であっても購入額満額に近い融資は受けられませんでしたが、中古不動産のマーケットの拡大や品質の向上、投資ニーズの上昇から、現在では新築物件の融資基準に近い条件で融資を受けられる物件が増えています。
つまり、運用するにあたり負担があるかという観点では新築・中古ともあまり変わらないといえます。
② ローン年数
シミュレーションでは今回の中古物件は最長で38年ローンとなります。
毎月のキャッシュフローもプラスのため、たとえ同じ家賃であっても45年ローンでようやくキャッシュフローがプラスになるような新築物件と比べると、空室になるリスクを考慮しなければ、投資効率は中古物件の方が良いといえます。
また、単純に完済年齢を考えると35歳で45年ローンを利用する新築物件は80歳まで返済が続きますが、38年ローンの中古物件は73歳で完済します。ローン金額も新築物件と比べ少ないため、総利息額も少なく済み、かつ同じ金額を繰上げ返済した場合はさらに早期に完済ができる中古物件は非常に有利といえます。
新築も同様に38年ローンとすれば、早期の完済は可能ですが、一般的に新築の方が利回りが低いため、満室であっても月々のキャッシュフローはマイナスになることがあります。 よって、月々のキャッシュフローが同額でローン年数が短い中古物件が有利になります。
余談ですが、繰り上げ返済は返済額を変えずにローン期間のみを短縮する方法と、ローン期間はそのままに毎月の返済額を減額する方法があります。
保険の効果を残したいなどの場合は後者を選択するなど、運用の幅があるのもローンを利用したマンション投資の特徴です。
③ 中古物件と新築物件の違い
中古物件と新築物件の大きな違いの1つは、共用部分や部屋の設備が時代の最先端かそうでないかではないでしょうか。この設備の違いが入居率に影響することもあります。当然ながら、入居者からしてみると新しい設備、Wi-Fiなどの最新のインターネット環境などが備わっている方が借りたいと思うからです。
また、設備が新品であるかももう1つの大きな違いです。新築物件の設備は新品なので購入時にあまり気にしなくてもよいですが、中古物件の場合は、入居者がいる状態で売買されるケースがほとんどで、直接部屋を内見し劣化状況等をチェックできないため、購入後に突発的な設備交換費用などが発生する場合があります。そのため、中古物件を購入される場合はこういった設備の支出を想定することもポイントになります。
しかしながらこういった設備の保証を有償で行っている会社もあります。例えば当社グループの賃貸管理会社クレアスレントでは、管理手数料に1,000~1,500円の上乗せでエアコンなどの対象設備機器の修理費用が、修理保証上限金額の範囲内で保証されるサービスを提供しています。中古物件を購入されて賃貸される場合には突発的な支出を回避できるので非常に有用です。こうしたサービスをしている賃貸管理会社を選択するということも運用を行う上で大切になります。
まとめ
- 運用を始める際の自己資金は新築も中古も変わらない
- 運用期間中、出口戦略などバランスを持って運用していく場合は中古が有利
- 中古物件の購入は設備の状態にも目を向けること、思わぬ落とし穴がある
- 運用をしっかりとサポートしてくれる賃貸管理会社に任せることが大切
次回のコラムは、ローンが使えない中古物件を購入する場合について解説します。